端を発したのはアサダ(四段)のこんな一言だった。
「Aカップが一般卓だとすると、Bカップは上級卓、Cカップが特上卓、Dから上は鳳凰卓・・・」
これには鳳凰民の管寝(七段)が異論を唱えた。
「“鳳凰”という言葉のもつプレミアム感とDカップの凡庸さは釣り合わないのでは?」
gijyutu(四段)も一過言あるようだ。
「巨乳といいながら、乳輪ばかり大きいのはちょっと・・・。やはり乳頭も評価に含めるべきではないでしょうか?」
錯綜する議論に、NISHI(六段)が進行役を買って出る。
「乳頭と乳房はRと段位のように別の軸で評価するべきですが、乳頭のサイズや色については明確な基準の設定が難しいので、この件については一旦ペンディングということにしましょう。」
最終的には参加者中最も総対戦数の多いよっち(五段)の意見を尊重し、
「“挟めること”が鳳凰卓の条件」
というところに落ち着いた。
泰氏(まだ六段)が
「挟まれる側のサイズの一般化が必要なのでは・・・」
と、もっともな提案をしたところで低いエンジン音が聞こえてきた。
ドルルルル
次の瞬間、雀荘のドアをブチ破って黒づくめのライダーが駆るハーレーが飛び込んできた。
ピタリと我々の前にハーレーを止め、フルフェイスを脱ぐと、ハラリと長い黒髪がこぼれ落ちた。
「女・・・?」
若いずし(八段)は即座にジーンズを膝まで下ろしていたが、ライダーはオフ会の主催者、アンコロキング(八段)だった。
男の裸に反応し、ずしに馬乗りになったちゃら。(六段)を尻目に、開幕の挨拶を始めるアンコロキング。
「皆さん、夢はありますか?私の夢は『謎のウイルスにより自分以外の男が死滅し、種の保存のために世界中の女性に種付けする使命を帯びること』ですが、そういった意味で今回のインフルエンザにはかなり期待をしています」
スピーチの最中、サバエブ(四段)からしつこく「メンズブラをしている男をどう思うか」という質問を受けたが無視することにした。
1時間のスピーチの締めは
「ユンケルンバでガンバルンバ!」
の唱和だったが、ここで事件が勃発。
複数の参加者達がその元ネタを知らず、タイミングがずれてしまったのだ。これには天鳳界随一の武闘派、市民(九段)がキレた。
「こんなこともできないから四段なんだよ!」
アサダを殴り倒し、gijyutuに掴みかかろうとしたその瞬間、すずめクレイジー(八段)のコルトパイソンが火を噴いた。肩を打ち抜かれた市民が吹っ飛ぶ。
「九段てそんなに偉いんか?」
少なからずの嫉妬が見て取れる。さらに撃鉄を起こしたすずめクレイジーの前にクロサギ(六段)が両腕を広げて立ちはだかった。
「段位もRも関係ない!みんな宇宙船地球号の一員じゃないか!」
きっとサブが“表示無し”という憂き目にあっているクロサギなりに思うところがあったのだろう。すずめクレイジーも冷静さを取り戻し、いつものように愛銃にキスをしてからホルスターに収めた。
市民の銃創が心配だったが、bakase(八段)の高速レロレロで止血した。
仕切りなおすために、ハーレーでの入場から再度スピーチをやり直すアンコロキング。
二回目の唱和はアドリブで
「サーチ・アンド・デストロイ!サーチ・アンド・デストロイ!」
に変更されていたが、今回は一発で決まったので心なしか満足そうだ。
余った時間を利用してみんなで麻雀を打ち、廉太郎(七段)が優勝したが、トイレから逃げた。
